「土を焼く」
一滴の雨 一草の根の悠久の重なりが 岩を砕き土地と成します

人は土を掘り土を焼いて器とし また祈りの象徴として崇めてきました

土を焼くとは時の流れを奪うこと 焼かれた土は時を封じ込め ‘‘時の骨‘‘となるのです

信楽の土の焼き肌は時に禅僧の衣の如く 質撲で慎みを備え 
何も語らない茫漠の表情をみせます

土は長い旅の安息の地として 淡く簡素なつくりに鎮静するでしょう

私はこの焼土にいつしか同化することを想って 次なる窯の火中に薪を放ります

                         雲居窯 藤本秀